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撮影:片山達貴

『OBJECT AND MIND 
彼女とはもうバロロームできない』
2019.6/19-6/28 10:00~18:00


米村優人(彫刻)
竹浦曽爾(映像)
長谷川大祐(音響)
藤本流位(テキスト)

本展覧会は、哲学者であるカトリーヌ・マラブーによって提起された「可塑性 Plasticity」概念に大きく影響されるものである。
可塑性とは、物質に力を加えたとき、その外力の痕跡が物質に宿る性質を意味する物理学的な用語である。マラブーは、心が傷を受けるとき、その傷を決定するための認識として、心に対して、このような可塑的な力が発生しているとした。
あらゆる外傷は、「情動 emotion」をつかさどる脳の各部位に影響をもたらす。 はっきりと目に見えるかたちで傷が現れていない場合も、心理的なストレスや、 急性の不安は、情動的な脳に影響をもたらす。
本展覧会のタイトルには、特撮テレビドラマ『超人バロム・1』のテーマソング の中にある「ふたりがひとり バロローム」という歌詞からの引用である。
ふたりの少年が、腕を重ね合わせることによって、「バロム・1」というひとり のヒーローに合体する。『超人バロム・1』とは、身体的/精神的な意味において、 ふたりがひとりの存在となり、悪とされているものと戦う物語である。
「バロロームできない」という状態は、結合の破断である。 バロロームできないことが、脳の出来事として、傷という可塑的な力を加えるとき、わたしたちは、傷に価値を付与し、その傷の意味付けを行う。意味付けを行えば、行うほど、傷は脳と深く関わっていき、傷を抱えることによって、新たなる精神をかたちづくる。

(2019, 2' 41")

(2019, 2' 46")

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